ニュージーランドの年金KiwiSaver|仕組み・種類・条件・プロバイダー比較まで

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「KiwiSaverって実際どんな制度?」「自分にとってどんなメリットがあるの?」――そんな疑問を持ちながら、なんとなく加入している人も少なくありません。
KiwiSaverはニュージーランドで生活する人々にとって老後資金の柱となる大切な制度ですが、仕組みや選ぶファンドによって、将来の受け取り額に大きな差が生じる可能性もあります。
この制度をきちんと理解して選ばないと、本来得られるはずだった利益を逃したり、思わぬ損失に繋がる恐れもあります。
このページでは、KiwiSaverの基本・条件・種類から、注意点や選び方、人気プロバイダーの比較までやさしく解説します。
- KiwiSaverとは?ニュージーランドの年金・投資制度の基本
- ニュージーランドの年金制度!KiwiSaverの加入条件と仕組み
- ニュージーランドのKiwiSaverファンド|種類と運用スタイル
- ニュージーランドのKiwiSaver|引き出しルールとタイミング
- NZ在住日本人がKiwiSaverを利用する際の注意点3つ
- KiwiSaverプロバイダーの選び方|人気プロバイダー9社の比較
最後まで読めば、KiwiSaverへの理解がグッと深まり、自身の将来をより豊かにするためにも今何をすべきかがきっと分かるでしょう!
1. KiwiSaverとは?ニュージーランドの年金・投資制度の基本
KiwiSaver(キウィセーバー)は、ニュージーランド政府が2007年に導入した国主導の任意加入型の退職貯蓄制度です。
日本の厚生年金や企業年金制度とは異なり、個人が自分で加入を決め、積立・投資・引き出しを選べる仕組みが特徴です。
ここではまず、KiwiSaverの全体像と、日本の制度との違いを整理していきましょう。
1-1. KiwiSaverの主な目的と役割
KiwiSaverは主に次の2つを目的とした制度です。
- ① 老後資金の準備(退職後に十分な生活費を確保する)
- ② マイホーム購入支援(初めての住宅購入時に引き出しが可能)
KiwiSaverに加入すると、給与から一定割合が自動で差し引かれて積み立てられ、選択したファンド(投資商品)で運用されます。
これに加え、雇用主や政府からの拠出金(補助)もあり、個人だけでなく「雇用主+国」も一緒に資産形成を支えてくれる仕組みです。
1-2. 強制ではなく「任意加入」制度
KiwiSaverは基本的に任意加入制です。 つまり、加入するかしないかは本人の自由ですが、
フルタイム・パートタイム問わず、新規雇用される18〜64歳の従業員は自動的に仮加入され、28日以内であれば脱退可能 という「オプトアウト型の自動加入制度」がとられています。
1-3. 年金だけでなく「投資制度」でもある
KiwiSaverの大きな特徴のひとつが、自分でファンドを選び、資産運用できる点です。
ファンドは各プロバイダー(運用会社)が提供しているため、以下のように、投資スタイルやリスク許容度に応じて選ぶことができます。
- 保守的なファンド(元本重視)
- 成長志向のファンド(リスクを取ってリターンを狙う) など
これは日本の年金制度にはあまり見られない「自分で運用戦略を選べる年金制度」であることを意味しています。
1-4. 日本の制度との違い
項目 | KiwiSaver | 日本の制度 (厚生年金・iDeCoなど) |
加入 | 任意 (自動加入+脱退可) |
一部強制(厚生年金)+任意(iDeCo) |
運用 | 自分でファンドを選ぶ | iDeCoは選べるが、厚生年金は不可 |
拠出 | 本人+雇用主+政府 | ・本人+雇用主(厚生年金) ・本人のみ(iDeCo) |
引き出し | 原則65歳〜 (一部例外あり) |
・原則60歳〜(iDeCo) ・年金受給(厚生年金) |
税制優遇 | 拠出への税制メリットは限定的 | iDeCoなどは所得控除あり |
1章のまとめ:KiwiSaverは「貯金×投資×年金」が一体化した制度
KiwiSaverは、以下3つの効果を同時に叶えることができる、非常に実用的な制度です。
- 将来の年金対策
- 初めての住宅購入
- 安定的な資産形成
一方で、運用先やプロバイダー選びによって将来の受取額に差が出るため、仕組みを正しく理解したうえでの判断が必要です。
次の章では、実際にKiwiSaverに加入するにはどうすればいいのか、加入条件や拠出の仕組みについて詳しく見ていきましょう。
2. ニュージーランドの年金制度!KiwiSaverの加入条件と仕組み
KiwiSaverはニュージーランドに住んでいる人であれば広く加入できる制度ですが、年齢や居住ステータス、雇用形態によって加入方法が異なります。
また、拠出(積立)の仕組みもユニークで、「自分」「雇用主」「政府」の3者が関わる形になっています。
この章では、KiwiSaverの加入条件や加入の流れ、そして拠出金の仕組みについて詳しく見ていきます。
2-1. 加入対象者
KiwiSaverに加入できるのは、以下の条件を満たす人です。
条件 | 内容 |
年齢 | 原則18歳〜64歳 (15歳以上で任意加入も可能) |
居住地 | ニュージーランドに居住していること (永住権・市民権保持者が対象) |
雇用形態 | 雇用形態を問わず加入可能 (正社員・パートタイム・契約社員など) |
※就労していない人(例:学生・主婦)でも、自主的に拠出する形で加入可能です。
2-2. 加入方法:自動加入と任意加入の違い
■ 自動加入(Auto-enrolment)
- ニュージーランド国内の雇用主に新しく雇われた18〜64歳の労働者は、KiwiSaverに自動的に加入されます。
- ただし、28日以内であれば「オプトアウト(脱退)」可能です。
■ 任意加入(Opt-in)
- 新規雇用ではない人(既に雇用されている人や自営業者など)は、KiwiSaverプロバイダーを自分で選び、自発的に加入手続きを行う必要があります。
- IRD(Inland Revenue)やプロバイダー経由で申し込みが可能です。
2-3. 拠出金の仕組み:3者からの積立が基本
KiwiSaverの積立は、以下の3者から行われます。
拠出者 | 拠出内容 |
本人(従業員) | 給与から 3%、4%、6%、8%、10% のいずれかを選択して拠出 |
雇用主 | 従業員の給与の最低3%を拠出 (法定義務) |
政府 | 年最大 NZD 521.43 の「Member Tax Credit」を支給 (条件あり) |
■ 拠出率の変更
拠出率は年1回まで自由に変更可能です。自身のライフスタイルや家計状況に応じて調整できます。
■ Member Tax Credit(MTC)の条件
- 18歳以上で、ニュージーランドに居住しているKiwiSaver会員が対象
- 年間NZD 1,042.86以上の自己拠出を行うと、最大でNZD 521.43の政府補助を受けられます
2-4. 自営業者や未雇用者の加入
給与所得がない自営業者、フリーランス、あるいは就業していない人でもKiwiSaverには加入可能です。
その場合は、自分で決めた金額を自主的に拠出する「ボランタリー加入」になります。
【ポイント】
- 自分でプロバイダーと契約し、口座を開設
- 任意の金額・頻度で拠出(毎月、年1回など自由)
- 雇用主拠出はないが、政府のMember Tax Creditは対象になる(条件を満たせば)
2章のまとめ:KiwiSaverは柔軟性の高い積立制度
KiwiSaverは、日本の年金制度よりも加入の柔軟性が高く、
- 雇用されている人は「自動加入」
- すでに働いている人や自営業者は「任意加入」
- 拠出率は自分で選べ、途中で変更も可能 という特長があります。
また、本人+雇用主+政府という3方向からの積立という仕組みは、他国の制度と比べても非常にユニークです。
次の章では、この拠出された資金がどのように運用されるのか、KiwiSaverファンドの種類とその選び方について詳しく見ていきましょう。
3. ニュージーランドのKiwiSaverファンド|種類と運用スタイル
KiwiSaverの大きな特徴のひとつは、「加入者が自分で投資ファンドを選べる」ことです。
選んだファンドによって、資産の増え方・減り方、リスクの度合い、将来のリターンが大きく変わります。
この章では、KiwiSaverファンドの基本的な種類と、それぞれの運用スタイル、選び方のポイントについてわかりやすく整理します。
3-1. ファンドの運用タイプは主に5種類
KiwiSaverファンドは、主に以下のようなリスク・リターンの違いに応じて分類されます。
ファンドタイプ | 主な特徴 | 投資対象の例 | 向いている人 |
Conservative (保守型) |
リスクが低く安定重視 | ・国債 ・預金 ・高格付け債券など |
・リスクを最小限にしたい人 ・引き出しが近い人 |
Moderate (やや保守) |
やや安定しつつ成長も狙う | 債券+一部株式 | 安定と成長のバランスを取りたい人 |
Balanced (バランス型) |
債券と株式が半々程度 | ・債券 ・株式 ・不動産など |
中長期で資産を増やしたい人 |
Growth (成長型) |
リスクを取って高リターンを狙う | ・株式 ・不動産 ・インフラなど |
・若年層 ・長期運用が前提の人 |
Aggressive (積極型) |
ほぼ株式中心のハイリスク運用 | ・国内外株式 ・新興国資産など |
・値動きを許容できる人・ 資産拡大を狙う人 |
※ファンド名はプロバイダーによって異なりますが、上記は代表的な分類です。
3-2. ファンド選びがKiwiSaverの成果を大きく左右する
KiwiSaverでは、プロバイダーを選ぶだけでなく、どのファンドを選ぶかも自由です。
これは「将来の資産形成を自分で設計できる」という強みでもあります。
例えば、20代で引き出しまで40年以上ある人が保守型ファンドを選んでしまうと、資産がほとんど増えないままになってしまう可能性があります。
逆に、60歳近くで高リスクのファンドを選ぶと、引き出し直前に市場が暴落してしまうリスクもあります。
Q. 失敗しないためのファンド選びのコツは?
KiwiSaverで失敗しないためには、自身の以下の要素に意識してファンドを選ぶことが重要です。
- 年齢
(残りの運用期間) - 引き出し予定のタイミング
(住宅購入 or 退職後) - リスク許容度
(価格変動に対する不安の強さ) - 投資経験・知識の有無
3-3. ファンドはいつでも自由に変更できる
KiwiSaverのファンドは、プロバイダー内でも自由に変更できるのも大きな特徴の1つです。
例えば、以下のような柔軟な調整も可能です。
- 例1:「BalancedファンドからGrowthファンドへ切り替える」
- 例2:「退職が近づいたのでConservativeファンドへ移す」などの
また、ファンド変更は多くのプロバイダーがオンラインから簡単に申請可能です。
3-4. 運用実績も選ぶポイントのひとつ
各ファンドの過去の運用実績(年率リターン)は、プロバイダーや独立機関の比較サイトなどで公表されています。
ただし、過去の実績=将来の成績を保証するものではないため、あくまで参考として使いましょう。
それよりも、自分の目的と運用期間に合ったファンドを選ぶことの方が重要です。
3章のまとめ:ファンド選びは「今の自分」と「将来の目的」に合わせて
KiwiSaverでは、自分にとって最適なファンドを選べるという自由があります。 それは同時に、「選択の責任」があるということでもあります。
あなたが… | おすすめファンド |
若くて運用期間が長い | Growth 〜 Aggressive |
中年期・住宅購入を数年内に控えている | Balanced 〜 Moderate |
引き出しが近い・リスクが不安 | Conservative |
次の章では、このファンドを提供している「プロバイダー(運用会社)」の選び方と、実際にどんな企業があるのかを比較していきます。
どの会社を通して運用するかも、資産の成長に大きく関わってくる重要なポイントです。
4. ニュージーランドのKiwiSaver|引き出しルールとタイミング
KiwiSaverは「老後資金を作る制度」であるため、基本的には65歳以降に引き出すのが原則です。
しかし、特定の条件を満たす場合には、それより前に資金を引き出すことも可能です。
この章では、引き出し可能なタイミングとその条件について詳しく解説します。
4-1. 原則は65歳以降に引き出し可能
KiwiSaverでは、以下の条件を満たすといつでも自由に引き出しができるようになります。
- 65歳以上である
- 加入から5年以上が経過している
(※2019年7月1日以降の加入者にはこのルールは適用されない)
引き出し方法は一括・分割・定期払いなど選べるため、自分のライフプランに合わせて柔軟に使うことができます。
4-2. 住宅購入のための引き出し
KiwiSaverの大きな特徴のひとつが、マイホーム購入時に資金を引き出せることです。
これは、ニュージーランド政府が「自立した暮らし=住宅所有」を支援するために導入した特別ルールです。
引き出しの条件:
- ニュージーランド国内で初めて住宅を購入すること(”First Home”)
- 少なくとも3年間KiwiSaverに加入・拠出している
- 残高のうち NZD 1,000 を除いた全額を引き出せる
注意点:
- 使用目的が「自分が住む家」であること(投資物件は対象外)
- First Home Grant(最大NZD 10,000の補助金)と併用可能
4-3. 永住権放棄・海外移住時の引き出し
ニュージーランドから永住的に出国する場合、KiwiSaverの残高を引き出すことも可能です。
対象となるケース:
- 永住権を放棄して国外に移住する
- オーストラリア以外の国に1年以上継続して滞在する予定
- 離脱から12ヶ月以上経過後に申請
必要書類例:
- 海外移住を証明する書類(航空券・ビザ・海外の銀行口座など)
- 納税者番号や所在国での居住証明
※オーストラリア移住の場合はKiwiSaverの資金を「オーストラリアのSuperannuation(年金制度)」に移管する選択肢があります(Trans-Tasman Portability)。
4-4. 経済的困難による早期引き出し
災害、失業、深刻な収入減などにより生活に深刻な影響が出ている場合、一定の条件下でKiwiSaverを早期に引き出すことができます。
対象となる状況の例:
- 家賃や住宅ローンの支払いが不可能
- 医療費・生活必需費が賄えない
- 借金などで債務整理が必要なレベル
ポイント:
- IRDまたはKiwiSaverプロバイダーを通じて申請
- 申請内容には詳細な財務状況の証明が必要(通帳・請求書など)
- 「最小限必要な額」のみが承認されるケースが多い
4-5. 重度の病気・死亡の場合の引き出し
以下の場合にも、KiwiSaverの資金を早期に引き出すことが認められています。
重度の病気(Serious illness)
- 就労不能な重度の疾病(医師の診断が必要)
- 治療に多額の費用を要するケースなど
死亡時
- 加入者が亡くなった場合、そのKiwiSaver資産は相続人または遺産管理者に支払われます。
4章のまとめ:KiwiSaverの引き出しは「タイミングと理由」が鍵
KiwiSaverは原則として老後まで引き出せない仕組みとなっています。
しかし例外的に、以下のように特別な状況に限っては早期引き出しが認められています。
引き出し理由 | 引き出し可能条件 |
老後資金 | 65歳以降(自由に引き出し可能) |
初めての住宅購入 | 加入3年以上、自分が住む家の購入 |
海外移住 | ニュージーランド永住権放棄+12ヶ月経過 |
経済的困難 | 財政的証明があり、生活維持が困難な場合 |
病気・死亡 | 重度の疾病・死亡時に本人または遺族が受け取る |
次の章では、KiwiSaverを日本人が利用する際に特に注意すべき点や、制度上の違いによって生じやすい誤解、申告・税務上の注意点について解説します。
5. NZ在住日本人がKiwiSaverを利用する際の注意点3つ
KiwiSaverはニュージーランド居住者であれば基本的に誰でも利用できる制度ですが、日本人が利用する場合には特有の注意点や誤解しやすい点がいくつかあります。
特に滞在ステータスや将来の帰国予定、税制上の違いを把握していないと、思わぬトラブルや損失につながる可能性もあります。
この章では、日本人としてKiwiSaverに加入・利用する際に押さえておきたいポイントを整理します。
5-1. 永住者と一時滞在者で扱いが異なる
永住権を持つ場合:
- 原則として、KiwiSaverのフル機能を利用可能
- 雇用主拠出・政府補助(Member Tax Credit)も受けられる
- 将来の老後資金・住宅購入資金として計画的に活用可能
一時滞在者(例:ワーホリ、就労ビザ)の場合:
- プロバイダーによっては加入制限あり
- 永住せずに数年で日本へ帰国する場合、KiwiSaverは原則そのままにする必要がある(引き出しには条件あり)
- 引き出しにはニュージーランドを離れてから12ヶ月以上経過+書類提出が必要
5-2. 帰国時の引き出しには条件と手続きがある
日本に本帰国する場合でも、KiwiSaverをすぐに引き出せるとは限りません。
条件:
- ニュージーランドを永住的に離れること
- オーストラリア以外への移住であること
- 出国から12ヶ月以上が経過していること
手続きに必要な書類例:
- パスポートコピー
- 日本の居住証明(マイナンバーカード・住民票など)
- 日本の銀行口座情報
- 出国日を示す証明(航空券など)
※早期引き出しは「政府補助分(MTC)」が受け取れない場合があります。
5-3. 引き出し資金の税務申告について
KiwiSaverの引き出し金額は、ニュージーランド国内では原則非課税ですが、日本に帰国した場合は、日本の税法に基づく申告が必要になる可能性があります。
ポイント:
- 「一時所得」または「退職所得」として扱われるケースがある
- 日本の確定申告時に報告が求められる場合がある
- 年間20万円を超えると課税対象になる可能性あり(雑所得)
なお、日本側での税務処理を問題なく行うためには、日本の税理士に相談するのが確実です。
5-4. 日本の年金制度とは性質が異なる
KiwiSaverは「個人運用型の資産形成制度」であり、日本の公的年金(厚生年金・国民年金)とは異なります。
以下の点で混同しないよう注意が必要です。
比較項目 | KiwiSaver | 日本の公的年金制度 |
加入 | 任意(自動加入あり) | 一部強制加入(就労者) |
運用 | 自由にファンドを選択 | 原則、政府が管理 |
引き出し | 原則65歳以降+例外あり | 原則65歳以降(年金形式) |
海外移住時 | 条件付きで引き出し可 | 保険料納付期間に応じた支給 |
5-5. プロバイダー選びでは「言語サポート」も重要
KiwiSaverの契約や運用、引き出しの手続きは、すべて英語で行われるのが一般的です。
そのため、日本語に対応しているサポート体制のあるプロバイダーを選ぶと、安心して利用できます。
また、日本語のパンフレットやFAQ、オンラインサポートを提供しているプロバイダーも一部存在します。
【日本語の通じる資産管理アドバイザー】
アジア向けサービスを展開しているプロバイダーの中でも、特に日本語でのやりとりを希望する人にはBancorpをおすすめします。
KiwiSaverのプロバイダーではありませんが、資産管理の窓口として、経験豊富な日本人スタッフも在籍しているため安心して相談できます。
【Bancorp Merchant Bankers 公式ページ】
https://www.bancorp.co.nz
5章のまとめ:KiwiSaverを利用する日本人は「出国・引き出し・税務」の準備がカギ
日本人がKiwiSaverを使う際に特に気をつけたいのは、以下の3つです。
注意点 | 内容 |
帰国時の対応 | 出国から12ヶ月経過後、引き出し可 (※書類提出が必要) |
税務申告 | 日本での申告義務が生じる可能性あり |
サポート体制 | ・日本語対応の有無 ・プロバイダーの選定が安心 |
次の章では、いよいよKiwiSaverの資産運用を任せる「プロバイダー」の選び方と、人気のある各社の比較・おすすめについてご紹介します。
将来の受取額を左右する重要なステップですので、ぜひ参考にしてみてください。
6. KiwiSaverプロバイダーの選び方|人気プロバイダー9社の比較
KiwiSaverは、どのファンドに投資するかだけでなく、どのプロバイダー(運用会社)を選ぶかによっても運用成績や使い勝手に大きな差が出ます。
この章では、プロバイダー選びのポイントや、人気のある主要プロバイダーの特徴を比較しながら解説します。
6-1. プロバイダーとは?
KiwiSaverにおけるプロバイダー(Provider)とは、加入者が拠出したお金を管理・運用する金融機関のことです。
プロバイダーごとに提供するファンドの種類、手数料、投資方針、サポート体制が異なります。
6-2. プロバイダー選びの4つのポイント
- 手数料の安さ
→ 運用期間が長くなるほど手数料の差は大きな影響に。 - ファンドの種類と運用実績
→ 自分の目的やリスク許容度に合ったファンドが選べるかどうか。 - サポート体制
→ 日本語対応の有無、アプリやウェブの使いやすさなども重要。 - 倫理的投資(エシカル投資)
→ 武器・化石燃料・タバコ産業を排除したファンドなど、社会的価値を重視する人向け。
6-3. 人気KiwiSaverプロバイダー9社の比較表
2025年時点で人気のKiwiSaverプロバイダー9社を、「特徴・手数料・向いている人」で比較すると以下の通りです。
プロバイダー | 特徴 | 手数料 (参考) |
向いている人 |
ANZ | 大手銀行系で安心感あり | 約0.56% (Balancedの場合) |
管理しやすさ&信頼重視 |
ASB | アプリやネット管理がしやすい | 約0.4〜0.6% | テクノロジー活用したい人 |
Simplicity | ・非営利 ・低手数料&エシカル運用 |
年0.31%+NZ$20 | ・コスト重視 ・シンプル志向 |
Milford | アクティブ運用で高パフォーマンス | 年0.8%前後 (ファンドにより異なる) |
・リターンを狙いたい中 ・上級者 |
Booster | ・NZ国内企業支援型 ・バランス型多い |
約0.5〜0.6% | 地元重視&安定志向の人 |
Generate | 成長ファンドに強く若年層に人気 | 約0.75〜1.0% | 長期で積極運用したい人 |
Kiwi Wealth | ・Kiwibank系 ・中〜長期で堅実運用 |
約0.5%前後 | 銀行口座との連携が便利 |
Fisher Funds | ・顧客サポートに定評 ・運用成績も安定 |
約0.6〜0.8% | 初心者〜ミドル層まで対応力高い |
SuperLife | 40種類以上のファンドが選べる | 年0.49% (標準) |
・カスタマイズ重視 ・上級者向け |
※手数料やファンド名は変更の可能性があります。最新情報は各社公式サイトにてご確認ください。
6-4. 日本人におすすめのプロバイダーは?
KiwiSaverは基本的に英語での契約・管理ですが、何を重視するかによって、例えな以下のような選び方もあります。
重視するポイント | おすすめプロバイダー |
手数料の安さ | ・Simplicity ・SuperLife |
サポート・使いやすさ | ・ANZ ・ASB ・Fisher Funds、 |
エシカル投資 | ・Simplicity ・Booster |
成長型・高リターン志向 | ・Milford ・Generate |
日本語対応の安心感 | Bancorp (*)KiwiSaver提供企業ではないが、資産管理の窓口として相談可能。 |
6章のまとめ:プロバイダー選びは「コスト」「信頼性」「相性」で決めよう
KiwiSaverでは、同じ金額を積み立てても、
- どのファンドを選ぶか
- どのプロバイダーを選ぶか
によって、将来の受取額は大きく変わってきます。
だからこそ、
- 自分の年齢・目標・ライフスタイル
- サポートの充実度(英語が不安な場合は特に重要)
- 手数料や過去の成績
を総合的に比較し、「自分に合った一社」を選ぶことが大切です。
次の章では、これまでの内容を踏まえながら、KiwiSaverを将来の安心資産に変えていくための総まとめを行います。
加入すべきか迷っている方、今後の行動を知る上ではぜひ参考にしてみてください。
7. まとめ:KiwiSaverを上手に活用して、将来の安心資産をつくるには?
KiwiSaverは、単なる「年金制度」ではなく、資産運用・マイホーム購入支援・税制優遇などが組み合わさった、非常に柔軟性の高い制度です。
特にニュージーランドに住む日本人にとっても、自分のライフプランに応じて上手に活用することで、将来の安心と選択肢を広げることができます。
この章では、KiwiSaverの全体像を振り返りつつ、今後どのように向き合っていけばいいか、ポイントを整理していきます。
KiwiSaverの本質は「国ぐるみの資産形成制度」
KiwiSaverは、以下の3つから成立する「3者共同の仕組み」によって、効率的に資産形成ができる設計になっています。
- 自分の給与からの積立
- 雇用主からの上乗せ拠出
- 政府からの補助(Member Tax Credit)
これは、日本の年金制度と比べても大きな魅力であり、「もらえるか不安」な年金とは異なり、自分がコントロールできる老後資金を積み立てることができます。
自分の目的に合ったファンドとプロバイダーを選ぼう
KiwiSaverでは、以下2つについて、自分の目的や好みに応じて選べる自由があります。
- どのリスクレベルのファンドを選ぶか
- どのプロバイダーに運用を任せるか
それは同時に、「自分で考えて行動する責任」があるということでもあります。
年齢・目的 | ファンド例 | プロバイダー例(例) |
20〜30代 (長期運用) |
・Growth ・Aggressive |
・Simplicity ・Milford |
30〜40代 (例:住宅購入予定など) |
・Balanced ・Moderate |
・ASB ・Booster |
50代以降 (安定重視) |
・Conservative ・Moderate |
・ANZ ・Fisher Funds |
日本人ならではの注意点も忘れずに
特に日本人にとっては、以下の点に注意が必要です。
- 永住か一時滞在かによって、引き出しや加入ルールが異なる
- 帰国時の引き出しは1年以上の経過+証明書類が必要
- 引き出した資金は日本で課税対象になる可能性がある
- 英語が不安な場合は日本語対応プロバイダーや資産管理会社の活用も検討を
今すぐできる!KiwiSaver活用のステップ
【ステップ1】
自分がKiwiSaverに加入しているかを確認
(職場経由か、個人加入か)
【ステップ2】
自分の拠出率とファンドタイプを見直す
【ステップ3】
プロバイダーの手数料や運用成績を比較して必要なら変更
【ステップ4】
初めての住宅購入や帰国予定がある場合は、引き出し条件を事前に確認
【ステップ5】
不明点があれば、信頼できる専門家(日本語対応も可)に相談を
この記事の総まとめ:KiwiSaverは「絶対やるべき」資産形成ツール
KiwiSaverの主なポイントは以下の通りです。
- 貯金+投資+年金のハイブリッド制度
- 自分で選び、自分でコントロールできる制度
- 少額からでも始められ、国と会社のサポートも得られる制度
「いつかやろう」ではなく、「今日から」
今日から見直す・始めることで、将来の安心が大きく変わる。これがKiwiSaverの最大の価値です。
あなたの将来に向けて、いまできる最善の準備を一歩ずつ始めてみましょう。
KiwiSaverは、その第一歩としてとても心強い味方になってくれます。
最後になりますが、このページがあなたの将来にとって何か1つでも参考になれば幸いです。