ニュージーランドで家族が亡くなったら|死亡後に必要な事務手続き【完全ガイド】

XXX
ニュージーランドで家族や知人が亡くなったとき、遺された人にはすぐに進めなければならない事務手続きが数多くあります。
日本とは違う制度や流れに戸惑い、何をしたらいい分からず後になって後悔してしまうことも少なくありません。
このページでは、死亡後に必要となる基本的な手続きや注意点を日本人向けにわかりやすく整理しました。
いざというときに慌てないためにも、今のうちにしっかりと確認しておきましょう。
- ニュージーランドで死亡したら?最初にすべき2つのこと
- あなた or 代理?ニュージーランドの死亡届のポイントまとめ
- ニュージーランドの死亡証明書|取得方法と活用場面とは?
- ニュージーランドの死亡後の事務手続|銀行・保険・公共料金など
- ニュージーランドのWill(遺言書)とProbate(遺言検認)とは?
- ニュージーランドでの葬儀と火葬の基本情報まとめ
- ニュージーランド在住日本人|日本大使館・領事館への連絡は必要?
- まとめ:ニュージーランドに住み続けるなら?心構えと事前準備の大切さ
- 【参考】ニュージーランドの死亡後チェックリスト
最後まで読めば、ニュージーランドの葬儀や死亡後の事務手続きについて分かり、しっかりとイメージを掴めるようになるでしょう。
1. ニュージーランドで死亡したら?最初にすべき2つのこと
ニュージーランドで誰かが亡くなった場合、まず最初に行うべきは以下の2つです。
最初に行うべき2つのこと
- 死亡の確認
- 葬儀社への連絡
ここでは、最初の対応として必要なステップを順に見ていきます。
① 死亡の確認
(および 死亡確認証明書の取得)
故人の死亡を正式に確認できるのは、医師またはコロナー(検視官)です。
- 病院で亡くなった場合は、担当医師が死亡確認を行ます。
- それが済むと、「死亡確認証明書」(Medical Certificate of Causes of Death)が発行されます。
- 自宅など病院以外で亡くなった場合には、かかりつけのGP(家庭医)または救急医療チームが呼ばれ、死亡を確認します。
事故死や不審死の場合は、警察やコロナーによる検死(Post-mortem Examination)が行われることもあります。
この死亡確認証明書は、後の死亡登録や火葬手続きに不可欠な書類となります。
② 葬儀社への連絡
死亡が確認されたら、できるだけ早く葬儀社(Funeral Director)に連絡します。
ニュージーランドでは、多くの手続き(遺体搬送、保存、死亡登録、火葬・埋葬手続きなど)を葬儀社が代行するのが一般的です。
葬儀社を選ぶ際には、次のポイントに注意するとよいでしょう。
- 希望する葬儀スタイル(伝統的葬儀、直葬、マオリ式など)に対応できるか
- 火葬または埋葬の希望に沿ったプランがあるか
- 料金体系が明確か(見積もりを必ず取得すること)
- 評判や口コミ(地域コミュニティでの信頼度)
葬儀社が決まったら、遺体搬送や必要な初期手続きを一括して任せることができます。
この時点で家族が抱える負担を大きく減らすことができるため、信頼できる葬儀社選びは非常に重要です。
2. あなた or 代理?ニュージーランドの死亡届のポイントまとめ
ニュージーランドでは、死亡が確認された後、法律に基づき「死亡届」(Registration of Death)を提出する義務があります。
この手続きを正しく行わないと、死亡証明書が発行されず、銀行や保険など各種手続きに進めないため、非常に重要なステップとなります。
誰が提出する?
通常、葬儀社(Funeral Director)が代理で死亡届を提出します。
もし家族が直接手続きを行う場合は、ニュージーランド内務省(Department of Internal Affairs – Births, Deaths and Marriages部門)に届け出る必要がありますが、実務上はほぼ葬儀社に任せるケースが一般的です。
提出に必要な書類と手続きの流れ
提出には以下の情報・書類が必要です。
- 死亡確認証明書(Medical Certificate of Causes of Death)
- 故人の氏名、生年月日、出生地
- 故人の国籍、滞在ステータス
- 故人の住所
- 結婚歴、配偶者の情報(該当する場合)
- 親の氏名(出生証明との照合が行われるため)
- 死亡の日時と場所
これらの情報に基づいて、死亡届フォームを作成し、内務省へ提出します。
提出後、登録が完了すると、正式なDeath Certificate(死亡証明書)を申請・取得できるようになります。
提出期限に注意!
死亡届は、「死亡後3営業日以内」に提出することが法律で定められています。
特別な事情がない限り、この期限を守ることが求められます。
提出が遅れた場合、追加説明や手続きが必要になることもあるため、早めの対応が重要です。
3. ニュージーランドの死亡証明書|取得方法と活用場面とは?
死亡登録が完了すると、正式な死亡証明書(Death Certificate)を申請できるようになります。
つまり、「死亡登録」→「死亡証明書」という流れです。
この死亡証明書は、故人に関するさまざまな事務手続きを進めるために必須の書類です。
取得方法と取得タイミング
死亡証明書の申請は、以下の方法で行うことができます。
- 葬儀社に依頼してまとめて取得(一般的)
- 家族自身がニュージーランド内務省(DIA)のウェブサイトからオンライン申請
- もしくは直接DIAオフィスに申請(郵送も可能)
死亡登録が完了してから、通常数日以内に発行可能です。
早めに申請しておくと、後の手続きがスムーズに進みます。
必要枚数と活用場面
死亡証明書は、原本が必要となる場面が多いため、最低でも2~3通は取得しておくことをおすすめします。
(追加取得には費用がかかりますが、後から再発行するより手間が少なく済みます。)
活用場面の例は以下のとおりです。
- 銀行口座の凍結解除・資産引き出し
- 保険金の請求
- 年金の停止手続き(NZ Superannuationなど)
- 不動産の名義変更
- 公共料金・携帯電話・サブスクリプション契約の解約
- 日本大使館・領事館への死亡届提出(日本国籍者の場合)
それぞれの手続きで原本提出 あるいは 認証コピー提出が求められる場合があるため、手元に複数用意しておくと安心です。
4. ニュージーランドの死亡後の事務手続|銀行・保険・公共料金など
死亡証明書を取得したら、次に進めるべきなのが故人の銀行、保険、公共サービスに関する事務手続きです。
これらの契約を放置しておくと、未払いの発生や不正使用などのリスクにつながるため、できるだけ早めに対応することが大切です。
銀行口座の凍結と資産管理
故人の銀行口座は、死亡の事実が銀行に伝わると原則として「即時凍結」されます。
その後、次のような流れで手続きが進みます。
- 死亡証明書(原本または認証コピー)を提出
- 故人の遺言書(Will)がある場合は、Executor(遺言執行者)が銀行と交渉
- 資産の引き出しや分配には、通常Probate(遺言検認)が必要
→ただし、残高が少額の場合は簡易手続きで済むこともあります(銀行ごとに基準あり)
注意点として、故人の銀行口座から無断で引き出す行為は “違法” とされるため、正式な手続きを経て資産管理を進める必要があります。
保険金請求手続き
生命保険や医療保険に加入していた場合、速やかに保険会社に連絡します。
申請時に求められる主な書類は次のとおりです。
- 死亡証明書
- 保険証券(Policy Document)
- 必要に応じて、受取人(Beneficiary)の本人確認書類
保険金の支払いには数週間かかる場合があるため、早めの申請が重要です。
また、受取人が故人自身になっている場合は、遺産の一部として相続手続きに回されるため、さらに手続きが複雑になることもあります。
公共料金・サブスクリプション契約の停止
故人名義の契約についても、整理・解約手続きが必要です。
- 電気・ガス・水道
- インターネット・携帯電話
- Netflix、Spotify、ジムなどのサブスクリプションサービス
これらも、各会社に死亡証明書を提示し、契約停止または名義変更手続きを進めます。
放置しておくと、無駄な支払いが続いてしまうため注意が必要です。
5. ニュージーランドのWill(遺言書)とProbate(遺言検認)とは?
故人の財産や資産を適切に引き継ぐためには、相続手続きを進める必要があります。
ニュージーランドでは、遺言書(Will)の有無によって手続きの流れが大きく異なります。
遺言書(Will)がある場合
故人が正式な遺言書を残していた場合、そこに指定されたExecutor(遺言執行者)が中心となって手続きを進めます。
Executorは、故人の資産整理・債務清算・資産分配などを行う法的権限を持ちます。
ただし、実際に遺言書に基づいて銀行口座の資産引き出しや不動産名義変更を行うには、裁判所からの正式な認可(Probate)が必要となるケースが多いです。
Probate(プロベート)とは?
Probateとは、ニュージーランド高等法院(High Court)が「遺言書の正当性」を公式に認める手続きのことです。
これが発行されると、Executorは正式に資産管理を行う権利を持ち、銀行・保険会社・不動産登記局などでの各種手続きが可能になります。
Probate申請の流れ
- 遺言書原本と死亡証明書を準備
- Executorが高等法院に対してProbate申請書を提出
- 審査が行われ、問題がなければ数週間~数か月で発行
- Probate発行後、正式に相続手続きや資産分配が開始できる
注意点として、資産規模が小さい場合や、特定の共同名義資産(例:共同名義の家)については、Probateを省略できる場合もあります。
遺言書がない場合(Intestate)
故人が遺言書を残していなかった場合、家族の中から代表者を立てて、Letters of Administration(管理者任命書)を申請する必要があります。
この場合、資産分配はニュージーランドの相続法(Administration Act 1969)に従って行われます。
配偶者、子供、親などが法定相続人となり、法律に定められた割合で資産が分けられます。
6. ニュージーランドでの葬儀と火葬の基本情報まとめ
ニュージーランドでは、故人が亡くなった後、数日以内に葬儀や火葬(または埋葬)を行うのが一般的です。
日本と異なり、形式や宗教色にとらわれず、個人や家族の希望を尊重する柔軟なスタイルが多く見られます。
火葬と埋葬の選択
ニュージーランドでは、火葬(Cremation)を選ぶ人が多く、埋葬(Burial)と比べて手続きがシンプルで費用も抑えられる傾向があります。
選択肢 | 特徴 |
火葬 (Cremation) |
・費用が比較的安価。 ・遺灰を自宅保管や散骨することも可能。 |
埋葬 (Burial) |
・土地の確保が必要 ・費用は高め ・伝統を重んじる家庭で選ばれることも。 |
選択肢に応じて、火葬場(Crematorium)や墓地(Cemetery)での手配が必要になります。
葬儀社の役割と手配の流れ
葬儀社(Funeral Director)は、遺体搬送から保存、死亡登録、火葬・埋葬手配、遺灰の返却までを一括でサポートします。
主な手配の流れは次のようになります。
- 遺族が葬儀社に連絡
- 葬儀内容(火葬か埋葬、追悼式の有無など)を打ち合わせ
- 葬儀社が死亡登録・死亡証明書取得を代行
- 希望に応じて、葬儀や追悼式(Memorial Service)を実施
- 火葬・埋葬後、遺灰の受け取りまたは墓地埋葬
追悼式を行う場合でも、必ずしも宗教色のある儀式にする必要はありません。
カジュアルなGathering形式や、自宅・公園での小規模な式もニュージーランドでは一般的です。
葬儀費用について
葬儀費用は内容によって幅がありますが、目安としては以下のとおりです。
葬儀の内容 | 費用の目安 |
火葬のみ (直葬・式典なし) |
約NZD 2,000~4,000 |
火葬+小規模追悼式 | 約NZD 5,000~8,000 |
伝統的葬儀+埋葬 | 約NZD 10,000以上 |
上からもわかるように、葬儀費用を抑えたい場合には、「直葬(Direct Cremation)」を選ぶ家庭も増えています。
7. ニュージーランド在住日本人|日本大使館・領事館への連絡は必要?
ニュージーランドで日本国籍を持つ人が亡くなった場合はどうなるのでしょうか?
基本的に、在ニュージーランド日本国大使館 または 総領事館への連絡が推奨されています。
この連絡は義務ではないものの、後々の手続きに大きく関わるため、事実上必要不可欠です。
日本国籍保持者の場合の注意点
故人が日本国籍を持っていた場合、死亡後に日本側でも正式な死亡登録(戸籍の更新)が必要になります。
日本側での死亡登録には、以下の提出が求められます。
- 大使館または総領事館への死亡届
- 必要書類(死亡証明書、パスポート、本籍地情報など)
死亡届は、通常、「死亡後3か月以内」に提出するのが原則です。
もし間に合わないと、日本側での手続きが煩雑になったり、相続や年金手続きに支障をきたす恐れがあります。
戸籍登録・パスポート返納手続きについて
死亡届を提出することで、以下の手続きが完了します。
- 日本の本籍地市区町村役場への死亡届送付・戸籍記載
- 故人の日本旅券(パスポート)の正式な失効・返納
これらの手続きが完了していないと、例えば以下のようなことに支障が出る恐れがあるため、早めに手続きすることが大切です。
- 日本国内での不動産相続
- 保険金受取
- 日本の銀行口座整理
また、場合によっては、大使館が遺族に対して葬儀や遺体搬送に関するアドバイスを行うこともありますので、早めに相談することをおすすめします。
8. まとめ:ニュージーランドに住み続けるなら?心構えと事前準備の大切さ
ニュージーランドで大切な人が亡くなったとき、遺族は短期間のうちに多くの事務手続きを進めなければなりません。
医師による死亡確認、葬儀社への依頼、死亡登録、死亡証明書の取得、銀行や保険会社への連絡、相続手続きと、段取りよく動くことが求められます。
制度や文化が日本とは異なるため、何をすべきか迷ってしまうケースも少なくありません。
そのため、あらかじめ必要な流れを知っておくことが、いざというときの大きな助けになります。
事前の準備(生前整理)が肝心
相続や資産整理、年金手続きの際に困らないためにも、忘れずに対応するようにしましょう。
事前に家族間で話し合い、希望する葬儀スタイルや資産管理方針を共有しておくことも、万一のときに「故人の意思を尊重しながら、スムーズに対応できる」ために非常に有効です。
また、日本国籍を持つ場合には、後々のことも考慮すると大使館・領事館にも連絡しておく方が無難です。
「心構え」と「準備」ができていれば、
大切な人を失った悲しみの中でも、少しでも安心して次の一歩を踏み出すことができるでしょう。
ぜひ、今日からその第一歩を始めてみませんか?
【参考】ニュージーランドの死亡後チェックリスト
生前整理の観点からも重要なこととして、ニュージーランドで誰かが亡くなったときの「実務向け死亡後チェックリスト」を作成しました。
時系列やカテゴリーを意識して分けているので、どんなことをする必要があるのかもし参考にしてもらえたら幸いです。
【すぐに対応すること】(死亡当日~24時間以内)
☐ 医師またはコロナー(検視官)による死亡確認を依頼
☐ 「死亡確認証明書(Medical Certificate of Causes of Death)」を受け取る
☐ 葬儀社(Funeral Director)を選び、連絡・依頼する
☐ 必要に応じて、遺体搬送・保存の手配を進める
【死亡後1~3営業日以内に対応すること】
☐ 葬儀社を通じて死亡登録(Registration of Death)を行う
☐ 死亡登録完了後、「死亡証明書(Death Certificate)」を申請・取得する(最低2~3通)
☐ 葬儀スタイル(火葬または埋葬)を決定し、葬儀社と詳細を打ち合わせる
☐ 葬儀・火葬・追悼式の日程を確定する
【死亡後1週間以内に対応すること】
☐ 故人の銀行口座を凍結するため、各銀行に死亡通知を行う
☐ 保険会社に連絡し、生命保険金・医療保険金請求の準備をする
☐ 公共料金(電気・水道・通信など)やサブスクリプション契約の停止・名義変更手続きを開始
☐ 故人の遺言書(Will)の有無を確認する
☐ 必要に応じて、Executor(遺言執行者)を確定する
【相続・資産整理に向けて対応すること】
☐ 遺言書がある場合:Executorが高等法院(High Court)にProbate申請を準備する
☐ 遺言書がない場合:家族がLetters of Administration(管理者任命書)申請を準備する
☐ 主要な資産リスト(銀行口座、不動産、投資資産など)を整理する
☐ 必要に応じて、弁護士やファイナンシャルアドバイザーに相談する
【日本国籍保持者の場合に追加で対応すること】
☐ 在ニュージーランド日本国大使館または総領事館に死亡事実を報告する
☐ 大使館・領事館を通じて日本の本籍地市区町村へ死亡届を提出する
☐ 故人のパスポートを返納・失効手続きする
【その他にも生前整理しておきたいこと(例)】
☐ 故人の銀行名・口座番号一覧
☐ 保険会社名・契約番号
☐ 葬儀社連絡先
☐ Executor(遺言執行者)氏名・連絡先
☐ 弁護士またはアドバイザー連絡先
☐ 緊急連絡先(ニュージーランド側・日本側)