ニュージーランド基本情報まとめ|旅行・留学・ワーホリ・移住前に知っておきたい10のこと

ニュージーランド基本情報のアイキャッチ

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自然豊かな風景、のんびりとしたライフスタイル、そして多文化が共存する社会。

そんなニュージーランドは、旅行先としてだけでなく、留学や移住、ビジネスの場としても多くの日本人に注目されています

このページでは、「ニュージーランドって実際どんな国?」という疑問に答えるべく、地理や気候、人口、文化、社会制度などの基本情報を分かりやすくお伝えします。

  1. ニュージーランドってどんな国?地理と場所をチェック
  2. 知ってた?!南半球ならではの四季と気候の特徴
  3. 多文化共生が魅力!人々の暮らしと民族構成
  4. 英語だけじゃない?ニュージーランドの言葉事情
  5. 街の暮らしを覗いてみよう!主要都市とインフラ
  6. 国の仕組みってどうなってる?政治と制度の話
  7. 教育制度は?学校の仕組みと留学情報
  8. 医療制度は安心?病院・保険の基本情報
  9. 経済ってどんな感じ?主要産業をざっくり紹介
  10. 日本とのつながりと、現地で暮らす日本人情報
  11. まとめ:ニュージーランドの魅力とは?

最後まで読めば、ニュージーランドがどんな国なのか分かり、きっと今までよりグッと身近に感じられる国になるでしょう!

1. ニュージーランドってどんな国?地理と場所をチェック

まずは、ニュージーランドという国がどこにあるのか、どんな国の形をしているのかについてお伝えします。

南太平洋に浮かぶ島国

ニュージーランドの地理

出典:google map

ニュージーランド(New Zealand)は南太平洋に浮かぶ島国で、日本から約9,000km、オーストラリアから約2,000kmの距離に位置しています。

日本と同様に島国であるものの、地理的に周まわり孤立しているため独自の自然環境と生態系が発展してきました。

北島と南島を中心とした島国

国土は大きく分けて、北島(North Island)と南島(South Island)の2つの島からなります。

ニュージーランドの地図

出典:google map

Q. 北島の特徴は?

北島は活火山や温泉地が多く、ロトルアなど地熱活動も盛んな土地です。

北島には首都ウェリントン(Wellington)や最大都市オークランド(Auckland)があり、政治・経済・文化の中心地として機能しています。

Q. 南島の特徴は?

その一方で、南島は雄大な山脈やフィヨルド、氷河など、ダイナミックな自然で広く知られています。

南島にはクライストチャーチ(Christchurch)やクイーンズタウン(Queenstown)など、観光地としても人気の高い都市があります。

面積と人口密度のバランス

ニュージーランドの国土面積は約27万km²で、日本の約3分の2ほどの広さです。なので日本とほぼ同じくらいとも言えます。

その一方で、人口は約500万人

日本の人口のわずか4%くらいなので、人口密度も非常に低くなっています。

例えば、東京ドーム約20個分(1km2)の広さに、日本なら約330人、ニュージーランドならわずか20人くらいが住んでいる計算になります。

さて、次の章ではニュージーランドの四季や気候について解説しますが、読み飛ばしたい人は「3. 多文化共生が魅力!人々の暮らしと民族構成」をクリックしてください。

2. 知ってた?!南半球ならではの四季と気候の特徴

ここではニュージーランドの気候と四季の特徴について、それぞれのポイントを分かりやすくお伝えします。

南半球ならではの季節感

ニュージーランドは南半球に位置しているため、日本とは季節が「逆」になります。

例えば、日本が夏の6月〜8月は、ニュージーランドでは冬です。

このため、旅行や留学、ワーキングホリデーなどの計画を立てる際には、現地の季節感を意識して準備することが大切です。

地域ごとに異なる気候

ニュージーランドは南北に細長い国土を持ち、北島と南島の気候には大きく以下の違いがあります。

  • 北島
    比較的温暖で湿度も高めの亜熱帯気候
  • 南島
    より冷涼で乾燥した温帯性気候

そのため、同じ季節でも地域によって体感温度や天気が大きく異なるのが特徴です。

例えば、北島のオークランドでは冬でも氷点下になることは稀ですが、南島のクイーンズタウンやダニーデンでは雪が降ることもあります。

旅行や滞在の際には、訪れる地域の気候に応じた服装の準備が必要です。

四季の移り変わりと特徴

ニュージーランドの四季のポイントは、以下のようになっています。

春(9月〜11月

花々が咲き始め、気温も徐々に上昇。アウトドア活動の季節が始まります。

夏(12月〜2月

晴天の日が多く、ビーチやキャンプが人気のアクティビティに。気温は地域によりますが、30℃を超えることはあまりありません。

秋(3月〜5月

葉が色づき、朝晩は肌寒くなる時期。観光には最適な季節といわれています。

冬(6月〜8月

スキーリゾートが本格的にオープンし、南島では雪景色が広がります。北島は比較的穏やかな冬を過ごせます。

天候の変わりやすさに注意

ニュージーランドの天候は、「一日のうちに四季がある」と言われるほど変わりやすいのも特徴です。

例えば、昼間にまるでシャワーのように一瞬降ったら、すぐに止むことも珍しくありません。

また、ニュージーランドは車社会なので、傘をわざわざ持ち歩かず、フードを被ったり、薄手のレインコートなどを着る

ただし、旅行者にとっては防水ジャケットや折りたたみ傘を準備することをおすすめします。

さて、次の章では多文化共生や民族構成などについて解説しますが、読み飛ばしたい人は「4. 英語だけじゃない?ニュージーランドの言葉事情」をクリックしてください。

3. 多文化共生が魅力!人々の暮らしと民族構成

ニュージーランドは、多文化が自然に共存し、出身や背景に関係なく互いを尊重し合う社会が根づいている国です。

この章では、そんなニュージーランドの人口構成や民族についてお伝えします。

オークランド|全人口の3分の1以上が集中

先ほどお伝えしたように、ニュージーランドの総人口は約500万人で、日本のわずか約4%にすぎません、

人口の多くは北島に集中しており、特にオークランド周辺には全人口の3分の1以上が暮らしています。

また、人口の多い都市トップ3で全人口の半分近くを占めています。(以下参照)

  • オークランド   :約150万人
  • クライストチャーチ:約40万人
  • ウェリントン   :約20万人
    (合計:約210万人)

世界有数の多民族国家

ニュージーランド政府は「多文化主義(Multiculturalism)」を掲げ、異なる背景を持つ人々が互いを尊重し合いながら社会を築くことを重視しています。

移民の受け入れにも積極的で、ニュージーランドは小規模な国でありながら、世界有数の多文化社会として広く知られています。

アジア・ヨーロッパ・南太平洋諸国など、様々な背景を持つ人々が暮らしており、それぞれの文化を尊重し合う風土もあります。

Q. 実際、何カ国くらいの人々が住んでるの?

例えば、直近のニュージーランド国税調査によると、約200の異なる国や地域の出身者が住んでいるとされています。

つまりこれは、ニュージーランドには世界中のほぼすべての国・地域の出身者の人が住んでいることになります。

主要な民族構成

統計上、ニュージーランドにおける主な民族構成は以下の通りです。(重複回答を含む)

  • ヨーロッパ系:約70%
  • マオリ:約17%
  • アジア系(中国・インド・フィリピン・日本など):約15%
  • 太平洋諸島系(サモア・トンガ・フィジーなど):約8%

先住民族であるマオリは、ニュージーランドの歴史と文化に深く関わっており、公的な場面ではマオリ語(Te Reo Māori)が一部使われることも多いです。

また、学校教育でもマオリ文化が取り入れられており、国全体でその継承と尊重が進められています。

多様性が日常に根づく社会

オークランドをはじめとする大都市では、日常的に多民族が共存しており、さまざまな言語や食文化に触れることができます。

スーパーやレストランにも各国の食材や料理が並び、異文化に対する寛容さや受け入れの姿勢が感じられるでしょう。

特に日本食を含めたアジアンフードは年々現地のスーパーマーケットにも浸透しているなど、日本人にとっても、馴染みやすく、暮らしやすい環境が整っています。

さて、次の章では公用語や言葉事情について解説しますが、読み飛ばしたい人は「5. 街の暮らしを覗いてみよう!主要都市とインフラ」をクリックしてください。

4. 英語だけじゃない?ニュージーランドの言葉事情

ニュージーランドでは一体どんな言語が話されているのでしょうか?

すでに知っている方も多いと思いますが、ニュージーランドで最も多く話されているのは「英語」です。

英語だけじゃない、ニュージーランドの公用語

ニュージーランドの公用語は3つあります。

  • 英語(English)
  • マオリ語(Te Reo Māori)
  • ニュージーランド手話(New Zealand Sign Language)

このうち、日常的に最も広く使われているのはもちろん英語ですが、マオリ語も学校教育や公共放送、政府機関の名称などに取り入れられています。

近年ではマオリ語の再評価と復興の動きが活発です。

また、手話は2006年に公用語として認定され、ろう者コミュニティにおいて重要な役割を果たしています。

ニュージーランド英語の特徴

ニュージーランド英語は、「イギリス英語」がベースです。

英語はほぼ全土で通じますが、ニュージーランドには独特の発音や単語、言い回しなどがあり、「ニュージーランド英語(Kiwi English)」と呼ばれることもあります。

ここでは、ニュージーランド英語の主な特徴を順にみていきましょう。

母音の発音の違い

ニュージーランド英語の発音の傾向の高い順に上から並べてみました。

単語の例 一般発音 ニュージーランド英語
発音の傾向
e が i のように聞こえる単語 pen ペン
/pen/
ピン
/pɪn/
red レッド
/red/
リッド
/rɪd/
bed ベッド
/bed/
ビッド
/bɪd/
æ が e  のように聞こえる単語 cat キャット
/kæt/
ケット
/ket/
bag バッグ
/bæg/
ベッグ
/beg/
hat ハット
/hæt/
ヘット
/het/
i が ə のように聞こえる単語 fish フィッシュ
/fɪʃ/
フッシュ
/fɘʃ/ または /fəʃ/
chips チップス
/tʃɪps/
チュップス
/tʃəps/
milk ミルク
/mɪlk/
マルク・メルク
/məlk/ または /mɘlk/
ei が ai のように聞こえる単語 day デイ
/deɪ/
ダイ
/daɪ/
rain レイン
/reɪn/
ライン
/raɪn/
wait ウェイト
/weɪt/
ウァイト
/waɪt/

使う単語の違い

アメリカ英語 ニュージーランド英語
携帯電話 cell phone mobile phone
ガソリン gas petrol
ビーチサンダル flip-flops jandals(*)
水着 swimsuit togs
とても良い/大丈夫 awesome / cool / no problem sweet as

(*) jandal は「japanese + sandals」から生まれた単語という説もあります。

「時間」に関する言い回しの違い

アメリカ英語 ニュージーランド英語
1時45分 one forty five quarter to two(2時の15分前)
2時15分 two fifteen quarter past two(2時の15分後)

単語の綴りの違い

日本語 アメリカ英語 ニュージーランド英語
中央 center centre
リットル liter litre
メートル meter metre
映画館・劇場 theater theatre

もしかしたら、人によっては最初は聞き取りに戸惑うことがあるかもしれませんが、慣れてくるとフレンドリーで親しみやすい英語であると感じる方が多いようです!

Q. 日本語はどのくらい通じる?

観光地などの日本人向けのエリアでは、日本語を話す人がいるケースもありますが、基本的には英語でのやりとりが前提です。

例えば、以前日本に住んでいたという人や、学校で日本語を勉強したという人などで日本語をだいぶ話せるというケースもありますが、これはほぼ例外と言えます。

ちなみに、ニュージーランドのいいところの1つと感じているのは、「一生懸命、英語で伝えようとすると、相手もしっかり聞いて理解しようとしてくれるところ」です。

もちろん全ての人がそういうわけではありませんが、こうした感想を抱く日本人は私のまわりにも多いです。

【参考】・・”日本語通訳サービス”

行政通訳サービス

出典:Ministry for Ethnic Communities

政府系機関や病院とのやりとりなど、正確な意思疎通が求められる場合には「日本人通訳サービス」を利用可能であることを知っておくと安心です。

例えば、Ministry for Ethnic Communities* (民族社会省) による「行政通訳サービス」は、以下から詳細をチェックできます。
(*) ニュージーランド国内における民族の多様性およびインクルージョン(受け入れ)に関して政府に提言する諮問機関。

【公式ページ】
https://www.ethniccommunities.govt.nz/japanese/

さて、次の章では主要都市や各種インフラについて解説しますが、読み飛ばしたい人は「6. 国の仕組みってどうなってる?政治と制度の話」をクリックしてください。

5. 街の暮らしを覗いてみよう!主要都市とインフラ

ニュージーランドの生活環境・生活インフラとは、一体どのようなものなのでしょうか?

ここでは生活インフラと主な都市について紹介していきます。

生活インフラの整備状況

ニュージーランドは先進国の一つとして、生活インフラも整っています。

電気・水道・ガス

電気・水道・ガスといった基本的なインフラは都市部を中心に安定しており、特に水道と電気の品質には定評があります。

例えば、水道水は基本的にそのまま飲用可能で、多くの家庭や飲食店では浄水器を使わずにそのまま飲める数少ない国の1つです。

通信サービス

インターネットや携帯電話のネットワークも年々改善が進んでおり、都市部では高速な光ファイバー網も普及しています。

ただし、地方部では通信速度が遅かったり、電波が不安定な地域もあるため、移住や長期滞在を考える場合は事前に確認することをおすすめします。

車・公共交通機関

特にオークランドやウェリントンなどでは、バス・電車・フェリーなどの公共交通機関も整っています。

ニュージーランドはいわゆる車社会で、”モーターウェイ”(motorway)と呼ばれる高速道路は無料です。そのため、市内の移動も、ちょっとした遠出も快適です。

その反面、特にオークランドでは通勤時間帯の交通渋滞がひどい傾向があります。

代表的な都市とその特徴

ニュージーランドにはそれぞれ個性を持った都市が点在しており、ここでは人口の多い都市トップ10を紹介します。

また、人口の観点でほぼ同規模の “日本の都市” も併せて紹介することで、ニュージーランドという国の規模感もあわせて実感してもらえたら嬉しいです。

それでは順に紹介します。

オークランド(Auckland)– 約150万人

  • ニュージーランド最大の都市で、国全体の人口の約3分の1が集中。
  • 経済、教育、文化の中心地であり、多民族が共存する国際都市。​
  • [同規模の都市] 福岡市

クライストチャーチ(Christchurch)– 約40万人

  • 南島最大の都市で、「ガーデンシティ」とも称される街。
  • 2011年の地震からの復興を経て、モダンな都市開発が進みつつも、英国風の建築や豊かな自然が共存。​
  • [同規模の都市] 長野市

ウェリントン(Wellington)– 約20万人

  • ニュージーランドの首都であり、政治と芸術の中心地。
  • ​国会議事堂や各国の大使館、美術館や映画産業も集まっており、文化的な中心地。​
  • [同規模の都市] 立川市(東京都)

ハミルトン(Hamilton)– 約17万人

  • 北島内陸部(オークランドから南に約100km)にある農業・教育の中心都市。
  • ワイカト大学を擁するなど、若者の多い学生都市​でもあり。
  • [同規模の都市] 鎌倉市(神奈川県)

タウランガ(Tauranga)– 約15万人

  • ベイ・オブ・プレンティ(Bay of Plenty)地方に位置する港湾都市。
  • 温暖な気候と美しいビーチで知られる人気のリゾート地。​
  • [同規模の都市] 米子市(鳥取県)

ダニーデン(Dunedin)– 約13万人

  • 南島南部に位置する大学都市で、スコットランド系移民の影響を色濃く受けた歴史ある街。
  • ​オタゴ大学を中心に若者が多く集まり、野生動物や歴史的建築も観光の見どころ多数。
  • [同規模の都市] 沖縄市

ローワー・ハット(Lower Hutt)– 約11万人

  • ウェリントン都市圏に含まれる都市で、住宅地として発展。
  • 科学研究機関や工業団地も多く、経済活動が活発。
  • [同規模の都市] 小樽市(北海道)

パーマストン・ノース(Palmerston North)– 約8万人

  • 北島中部に位置する都市で、マッセイ大学を中心とした教育機関が集積。
  • 農業研究や物流の拠点としても重要な役割。
  • [同規模の都市] 日光市(栃木県)

ネイピア(Napier) – 約6万人

  • ホークスベイ地方に位置する都市で、アールデコ様式の建築とワイン産業で有名。
  • 1931年の地震後の再建により形成された独特の都市景観。
  • [同規模の都市] 秩父市(埼玉県)

インバーカーギル(Invercargill) – 約5万人

  • ニュージーランド最南端の都市で、農業と漁業が主要産業。
  • 広大な公園や博物館があり、落ち着いた生活環境が魅力的。
  • [同規模の都市] 富岡市(群馬県)

ここまで見てきたように、これらの都市はニュージーランドの経済、文化、教育の中心地として重要な役割を果たしています。

それぞれの都市には独自の魅力があり、訪れる人々に多様な体験を提供しています。​

【参考】東京都との人口比較

例えば、東京都内の人口は約1,500万人なので、ニュージーランド全体の 約3倍 にも匹敵します。
(なお、人口の多い区トップ5は以下の通りです。)

  • 世田谷区:約100万人
  • 練馬区 :  約80万人
  • 大田区 :  約70万人
  • 足立区 :  約70万人
  • 江戸川区:  約70万人

さて、次の章ではニュージーランドの政治について解説しますが、読み飛ばしたい人は「7. 教育制度は?学校の仕組みと留学情報」をクリックしてください。

6. 国の仕組みってどうなってる?政治と制度の話

ニュージーランドの政治や社会については、一体どのような体制になっているのでしょうか?

この章ではできるだけポイントを整理してお伝するよう心がけていますが、あまり興味ない人は読み飛ばしてもらって構いません。

(※「」をクリックすると次の章にジャンプします。)

立憲君主制と議会制民主主義

ニュージーランドは、立憲君主制と議会制民主主義を採用している国です。

形式上の国家元首は、イギリス国王チャールズ3世であり、ニュージーランドでは「国王(King of New Zealand)」として象徴的な役割を果たしています。

実務的には、国王の代理として総督(Governor-General)が任命され、儀式的・中立的な立場で国家行事などに参加します。

政治の実権を担っているのは「議会」

政治の実権を担っているのは議会(Parliament)であり、ニュージーランドの議会は一院制です。(現在の定数は120議席、任期3年)

選挙制度は小選挙区比例代表併用制(MMP:Mixed-Member Proportional)が採用されており、有権者は「候補者」と「政党」の2票を投じます

この制度により、多様な政党が議席を持ちやすくなり、複数政党による連立政権が一般的です。

ちなみに、2023年の総選挙では、国民党(National Party)を中心とした中道右派の連立政権が誕生しました。

地方自治と分権

ニュージーランドでは、中央政府だけでなく、地方自治体(Local Authorities)も非常に重要な役割を果たしています。

地方自治体は、地域のインフラ管理、都市計画、ゴミ収集、図書館、公園運営など、地域に密着した行政サービスを提供しています。

地方自治体は「市(City Council)」「地区(District Council)」「地域(Regional Council)」などに分かれており、それぞれ独立して選挙で選ばれた議員や市長が行政を担います。

例えば、オークランド市は2010年に複数の自治体が統合され、国内最大のスーパースティ(Super City)として機能しています。

社会保障と福祉制度

ニュージーランドは、比較的充実した社会保障制度(Social Welfare)を備えており、「福祉国家(Welfare State)」としての性格が強い国の一つです。

政府による医療・年金・育児支援・失業保険などの支援制度が用意されており、国民の生活の基盤を支える仕組みが整っています。

代表的な3つの制度

  • スーパーアニュエーション(Superannuation)
    65歳以上の全居住者に支給される年金制度。収入審査はなく、一定の居住年数を満たせば誰でも受給可能です。
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  • ワーキング・フォー・ファミリーズ(Working for Families)
    低〜中所得世帯向けの育児・家族手当制度。子育て支援が手厚く、日本からの移住者にとっても心強い制度です。
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  • ACC(Accident Compensation Corporation)
    労働災害や交通事故などに対する補償制度。医療費や休業補償が原則すべての人に適用されます(外国人を含む)。

公平さと透明性を重視する政治文化

ニュージーランドは、国際的にも「汚職が少ない国」としても知られており、透明性・公正さを重視した政治文化が根づいています。

例えば、国際NGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」が発表する「腐敗認識指数(Corruption Perceptions Index)」では、毎年上位にランクインしています。

政治家や公務員の行動に対するチェック機能も働いており、メディアや市民社会の監視意識も高いと言えます。

これは、「小さな社会」のニュージーランドならではの信頼関係と、行政への高い期待の表れとも言えるでしょう。

6章のまとめ

以上がニュージーランドの政治と社会制度の概要ですが、日本と制度や価値観が似ている部分もあれば、異なる部分も多くあります。

次章では、そのような制度の背景を踏まえたうえで「教育制度と留学情報」にフォーカスを当ててご紹介します。

(※読み飛ばしたい人は「8. 医療制度は安心?病院・保険の基本情報」をクリックしてください。)

7. 教育制度は?学校の仕組みと留学情報

特にニュージーランドの留学や移住が気になっている人に向けて、教育制度や留学に関する特徴を分かりやすく解説します。

教育制度の基本

ニュージーランドの教育制度は、質の高い教育と平等な機会の提供を重視することで世界的にも高く評価されています。

公立・私立ともに教育の質が安定しており、移住者や留学生にとっても魅力的な学習環境が整っています。

日本の学年体系より1年早く始まる

ニュージーランドの小学校は「5歳の誕生日の翌日」から入学可能となります。(義務教育は6歳〜16歳まで)

つまり、「Year1」は日本の幼稚園の年長さんにあたる年齢であり、日本の「小学校1年生」にはニュージーランドの “Year 2” に相当します。

なので、日本のように入学式のような行事はなく、誕生日がきた子からYear1に入り、2月になったらクラスの子全員でYear2に上がるのが基本です。

ちなみに、小学校から高校までの学年を「Yaer1」から「Year13」まで一貫して数えます。

学校の1年間は「1月末〜2月初旬」に始まり12月まで

ニュージーランドの学校の1年間は「1月末〜2月初旬」に始まり、「12月初旬〜クリスマス前」に終了します。(学校によって多少異なります)

4ターム制で、「Term 1」から「Term 4」まで、それぞれ10週間が基本となります。

小学校の入学時期を選べることもある!

小学校によって異なるとは思いますが、日本とは異なり以下のようなケースもあります。

  • 日本の慣らし保育のように、小学校に慣れるための”Year0″が用意されていることもあり。
  • 子どもの成長や語学力などに応じて、先生と相談して、入学時期を1年遅らせることも可能。

このように入学する学年については非常に柔軟なので、、例えば留学生の場合は学年を1つ落として留学編入することは十分可能です。
(実際、日本人の場合はそうする人が多いようです。)

また、各教科の習熟度に応じて、1つ上の学年の学習内容を先取りして授業で勉強したり、お子さんや学校によっては飛び級するケースもあると聞いたことがあります。

教育システム(6年・2年・5年)

ニュージーランドの教育システムは、小学校6年間中学校2年間高校5年間が基本です。

これは特に日本では中学校3年間、高校3年間なのと比べると大きな違いです。

実際このような背景から、ニュージーランドでは中学校選びよりも、高校選びを気にする人も多いです。

また、初等・中等・高等教育に関して、教育機関、学年、年齢、特徴をまとめると以下の通りです。

教育機関 学年 / 特徴 年齢
初等教育 Primary School
→小学校
Year 1〜6 5歳〜10歳頃
中等教育 Intermediate School
→中学校
Year 7〜8
[2年間]
11歳〜12歳頃
Secondary School
→高校(以下はすべて高校)

  • High School
  • College
  • Grammar School
Year 9〜13
[5年間]
13歳〜17歳頃
高等教育 University
→大学
国立総合大学8校のみ 18歳以上
Institute of Technology」または「Polytechnic」(*)
→専門学校
計16校。(各都市に1校で、オークランドのみ2校)

例1)Unitec Institute of Technology [オークランド]
例2)Otago Polytechnic [ダニーデン]

同上
Vocational education and training (VET) providers」または「Industry Training Organisations (ITOs)
→職業訓練学校
業界主導型の実地研修制度など。 同上
Private Training Establishments (PTEs)
→専門学校と職業訓練期間の “中間的な存在”
NZQA(ニュージーランド資格庁)に認可された私立の高等教育機関。

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語学学校から、IT、美容、調理、航空、看護補助、介護、ビジネス、観光など多様な専門分野を提供。

同上

公立・私立・インテグレイテッドスクールの違い

例えばディスカッションやグループワーク学習が多いなど、日本の受験型教育とは大きく異なる点と言えます。

そんなニュージーランドの学校は、以下の3つの形態に分類されます。

  • 公立学校(State School)
    政府が運営費を全額負担しており、Year 1〜13(日本の小学校〜高校相当)までの授業料は原則無料です(ただし留学生や私費負担生徒を除く)。多くの家庭が公立学校を選んでいます。
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  • インテグレイテッド・スクール
    もともと私立だった学校が政府支援を受けて公教育に編入された形式。宗教系が多く、施設使用料などが必要ですが、授業の質やカリキュラムに定評があります。
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  • 私立学校(Private School)
    授業料が高額な代わりに、少人数教育や国際バカロレア(IB)など、特色ある教育方針を掲げる学校が多いです。

Q. ニュージーランドの受験事情は?

ちなみに、基本的に公立高校であれば、高校・大学に進学する際に、いわゆる”お受験”(入学試験)はありません。(入学後にクラス分けテストが行われることはありますが)

学区内の高校であれば希望すれば全員入学することができるため、いわゆる”いい高校”に子どもを入れるためにその学区に引越しする人も決して珍しくありません。

また、学区外(”out of zone”)の高校を希望する場合は、主に以下のような点から総合的に合否が判定されます。

  • 中学校の学業や運動面に関するレポート
  • 面接(親子で出席するケースが一般的)
  • 特別カテゴリー(兄弟姉妹が在学中、親がその高校の卒業生など)

高等教育と国際的評価

日本では「大学=university」と訳されますが、ニュージーランドで “universitiy” と呼ばれるのは8つの国立大学のみ(全て研究型大学)です。

いずれも、国際的な大学ランキングに毎年名を連ねているほど、学術面でも充実しています。

これらのuniversityに関して、国際的な大学ランキング(*)、優位性のある分野(強みの分野)、特徴についてまとめたのが以下の表です。

(*) ここでは世界中の大学を対象に学術評価・雇用主評価・論文引用数などで順位付けしている「QS世界大学ランキング(QS World University Rankings)」を参考にしました。

QS順位
(設立年)
大学名
[所在地]
優位性のある分野
(強み)
特徴
65位
(1883年)
オークランド大学
University of Auckland
[オークランド]
医学、工学、ビジネス、IT、教育、環境科学、スポーツ科学 NZ最大規模。研究重視。QS世界ランキング上位常連校。
214位
(1869年)
オタゴ大学
University of Otago
[ダニーデン]
医学歯学、心理学、スポーツ科学(世界11位) NZ最古の大学。医学・生物・心理学に強み。
235位
(1964年)
ワイカト大学
University of Waikato
[ハミルトン]
ビジネス、教育、コンピューターサイエンス、環境科学 教育・環境科学・コンピューター科学に注力。
239位
(1927年)
マッセイ大学
Massey University
[パーマストン・ノース/その他にオークランド・ウェリントンにもあり]
獣医学(世界19位)、農学、開発学、建築、メディア 農業・獣医・ビジネス・通信教育に強み。
244位
(1897年)
ビクトリア大学
Victoria University of Wellington
[ウェリントン]
法学政治学、国際関係、言語学(世界48位) 政治・法律・国際関係・人文学で評価が高い。
261位
(1873年)
カンタベリー大学
University of Canterbury
[クライストチャーチ]
工学、自然科学、サステナビリティ(世界36位) 工学・自然科学に定評。歴史あるキャンパス。
371位
(1878年/1990年に独立)
(*1)
リンカーン大学
Lincoln University
[クライストチャーチ郊外]
農業食料環境管理、土地資源/土地管理 農業系の”専門大学”
412位
(2000年/前身は1895年設立)*2
オークランド工科大学
Auckland University of Technology (AUT)
[オークランド]
デザインスポーツ、ビジネス、ホスピタリティ、IT 実践重視。若く成長中の大学。デザインやスポーツ系にも強み。

(*1) 1878年にカンタベリー大学の農業カレッジとして設立され、1961年に農業系の専門機関としての再編(Lincoln Collegeという名称で独自色を強める)を経て、1990年にUniversityとして完全に独立。
(*2) 1895年にAuckland Technical Schoolとして設立/2000年にニュージーランド政府から”University”として正式に認定された。

QS順位|日本の大学ってどのくらい?

QS世界大学ランキング2025には世界の上位1,500校以上が掲載されており、日本の主要大学では以下の通りです。

  • 32位 :東京大学
  • 50位 :京都大学
  • 86位 :大阪大学
  • 152位:名古屋大学
  • 181位:早稲田大学
  • 188位:慶應義塾大学

留学生に優しい制度と環境

ニュージーランドは、英語圏の中でも特に留学生にフレンドリーな国として知られています。語学学校から高校、大学まで、あらゆる教育段階で外国人を受け入れており、次のような特徴があります。

  • 学生ビザの取得が比較的スムーズ
  • 学業中のアルバイト許可(週20時間)、卒業後の就労ビザ制度も整備
  • 学校の国際部が親身にサポートし、生活や学業の相談が可能
  • ホームステイや学生寮といった滞在環境も安心

また、英語力に自信のない方でも、語学学校や進学準備コース(ファウンデーション)を通じて段階的に学べる柔軟な環境が整っています。

日本人にとっての魅力と注意点

このようにニュージーランドの教育制度は、「のびのび学びたい」「個性を伸ばしたい」*いう希望を持つ日本人にとって非常に相性の良い国と言えます。

治安の良さ、多文化社会の寛容さも、初めての留学に適しています。

一方で、日本との教育文化の違いから戸惑うこともあります。授業は参加型・発信型が中心であり、受け身ではなく、自ら学ぶ姿勢が求められます。

また、学校ごとにカリキュラムや校風が異なるため、目的に合った学校・地域選びが鍵になります。

次の章では、ニュージーランドを訪れる際にはぜひ知っておくべき欠かせない医療と保険制度について解説します。

(※読み飛ばしたい人は「9. 経済ってどんな感じ?主要産業をざっくり紹介」をクリックしてください。)

8. 医療制度は安心?病院・保険の基本情報

ニュージーランドへの旅行・留学・移住などを考えている人に向けて、ここでは医療と保険制度について解説します。

公的医療制度の特徴 〜誰もが必要な医療にアクセスできる仕組み〜

ニュージーランドは、公的医療制度を中心とする「ユニバーサルヘルスケア」を採用しています。

これは、永住者や市民であれば基本的な医療サービスは “原則無料” で受けることができる、という制度です。

この制度は、政府が税金を財源として運営するものであり、「必要なときに必要な医療を、所得に関係なく提供すること」を理念としています。

公的医療制度の特徴は?

ニュージーランドの公的医療制度に関して、主な特徴を以下の4つにまとめてみました。

  • “GP”による「かかりつけ医制度」が基本。
  • GPでの診察は自己負担(20〜80NZD程度/回)が原則。ただし18歳未満の子どもや一部の特定条件に該当する人は無料。
  • 病院での治療(入院・手術などの二次医療)は原則無料(ただし、一定条件を満たす市民・永住者が対象)
  • 薬代は一部自己負担(原則5NZD/処方薬1種類あたり)ですが、上限制度もあり家庭の経済的負担は限定的。

上にあるように、”GP”はニュージーランドの医療に欠かせない重要な存在です。

ニュージーランドの “GP” とは?

GPは「General Practitioner」の略で、日本語でいう「かかりつけ医」「一般開業医」あるいは「総合診療医」という意味です。

特定の専門分野に特化せず、例えば以下のような、幅広い健康問題を診察/対応する地域密着型の総合診療医のことを指します。

  • 風邪や感染症などの初期診断
  • 慢性疾患(糖尿病・高血圧など)の管理
  • ワクチン接種や健康診断
  • 精密検査や専門医への紹介

そして、GPでは対処できない症状やケガの場合には、「GPの紹介を通じて、専門医の診察を受ける」という流れになります

ちなみに、ニュージーランドの医療制度上、family doctorとしてどこか1つのGPを登録する必要があります。(なお、いつでも適宜変更可能です)

医療制度の対象となる人

無料または補助が受けられる「公的医療制度の対象者」は、以下のいずれかに該当する人です。

  • 特定の留学生(例えば政府間奨学金対象など)
  • ワークビザ保持者のうち、2年以上の滞在予定がある者
  • 永住権保持者(Resident Visa / Permanent Resident Visa)
  • ニュージーランド市民

Q. 上記に該当しない人はどうなる?

例えば短期滞在者や留学生のように、上記に該当しない人は、原則「自己負担(Private healthcare)」となり、万一の事態が起きた時には高額の負担が請求させる恐れがあります。

そのため、海外旅行保険や学生保険に加入することを強くおすすめします。

ACC制度:事故治療は全員に適用

ニュージーランドには、他国には珍しい「ACC制度」(Accident Compensation Corporation)があります。

これは、国籍・ビザに関係なく、国内でのあらゆる事故(仕事・交通・スポーツなど)によるケガや後遺症に対して医療費や補償が提供される仕組みです。

ACC制度に関する主な特徴は、以下の3つです。

  • 誰でも対象(観光客・短期滞在者も含む)
  • 整形外科的な治療やリハビリが補助対象
  • 勤務中の事故に対する「休業補償」(収入の最大80%)も含む

なお、ACCは保険料ではなく、労働者や企業が納める「ACCレヴィー」(”ACC levy” / 税金のようなACCへの拠出金)によって運営されています。

民間医療保険の必要性

市民や永住者であっても、GPの診療費や歯科・眼科・理学療法・専門医受診などは自己負担になるケースが多く、民間の医療保険(Private Health Insurance)に加入する人も増えています。

特に以下のような方に、民間医療保険への加入を検討してみることをおすすめします。

  • 高額な手術や入院を待たずに受けたい人
  • 公的制度では対象外の分野(美容歯科、カイロプラクティックなど)もカバーしたい人
  • 留学生や短期滞在者

なお、保険商品はSouthern CrossやNibといった大手保険会社が提供しており、プランは年齢や健康状態によって異なります。

医療のアクセスと地域差

ニュージーランドの医療は原則として高水準ですが、地域によるアクセスの格差が課題として残っています。

例えば、都市部(オークランド、ウェリントン、クライストチャーチなど)では医療機関の選択肢が多いと言えます。

その一方で、地方ではGPの予約待ちが長い・専門医にたどり着くまで時間がかかるといった問題が生じているところもあります。。

こうした背景から、近年ではオンライン診療(telehealth)の導入も進んでおり、地方でも都市と同様の医療サービスが受けられる環境の整備が進行中です。

8章のまとめ

ここまでニュージーランドの医療制度と保険に関する全体像をお伝えしてきました。

日本とは生活環境が大きく異なる海外で安心して暮らすため、「自分がどの制度の対象になるのか」「保険に加入すべきかどうか」をきちんと検討してみることが重要です

さて、次の章では経済や主要産業について解説しますが、読み飛ばしたい人は「10. 日本とのつながりと、現地で暮らす日本人情報」をクリックしてください。

9. 経済ってどんな感じ?主要産業をざっくり紹介

さて、この章では、ニュージーランド経済の特徴や主要産業のポイントを解説します。

小規模ながら安定した先進国経済

ニュージーランドは人口約500万人と小規模な国ながら、国民1人あたりのGDPが高く、国際的には先進国経済に分類されています。

経済の特徴は、大きくまとめると以下の4つです。

  • 農業・酪農を中心とした輸出型経済
  • 自由貿易志向が強く、アジア太平洋地域との関係が深い
  • 観光・教育・テクノロジーなどのサービス産業も成長中
  • 天然資源に依存せず、多角的に収益源を構築している

経済規模としては、GDPは約3,600億NZドル前後(2023年推定)、通貨は**ニュージーランドドル(NZD)**が使用されています。

主な輸出産業と国際競争力

ニュージーランドの経済は、古くから「農業大国」として知られ、今もその伝統を受け継いでいます。

そして、輸出の中心を担うのは以下のような「酪農」「畜産」「園芸」「林業・木材加工」産業です

  • 酪農(乳製品)
    Fonterra社を中心に、乳製品(特に粉ミルクやチーズ)は最大の輸出品目。
    輸出先は中国・東南アジア・中東など。
    XXX
  • 畜産(牛肉・羊肉・羊毛)
    広大な牧草地を活かした畜産業が盛んで、高品質な赤身肉は国際市場で評価が高い。
    XXX
  • 園芸(キウイフルーツ、リンゴ、ワイン用ぶどう)
    Zespriのブランドで知られるキウイは日本でも人気。
    ワインは欧州・北米・アジアにも輸出。
    XXX
  • 林業・木材加工
    ラジアータパインなどの植林資源を活かし、丸太や合板などをアジア諸国に輸出。

これらの農産物は、高品質・安全性・サステナビリティの点で評価されており、ニュージーランドブランドの信頼性は高い水準にあります。

サービス産業の成長と多様化

近年、ニュージーランド経済において存在感を増しているのがサービス産業です。

特に以下のような「観光業」「国際教育」「IT・クリエイティブ産業」が注目されています:

  • 観光業
    映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのロケ地として有名になったことで、世界中から自然景観を求める旅行者が集まる。
    コロナ禍の影響を受けたが、現在は回復傾向。
    XXX
  • 国際教育
    英語圏の安全な学習環境として人気があり、語学学校〜大学まで世界中の留学生を受け入れている。教育は主要な輸出サービス産業の一つ。
    XXX
  • IT・クリエイティブ産業
    Weta Digital(映画VFX)をはじめ、ゲーム開発、SaaS系スタートアップ、農業テックなどが発展。オーストラリアや米国市場とも連携。

これに加えて、「再生可能エネルギー」(特に水力・地熱)や、「ヘルスケアテクノロジー分野」も近年伸びを見せています。

経済政策と自由貿易志向

ニュージーランドは経済政策において自由貿易を強く支持する姿勢を取り続けており、数多くのFTA(自由貿易協定)を締結しています。

主なFTA締結先は以下のとおりです。

  • 日本(CPTPP経由)
  • 中国(FTA締結済)
  • オーストラリア(CER協定)
  • ASEAN諸国、韓国、イギリス、チリなど

これらの貿易協定により、輸出品に対する関税が大幅に削減されており、農産物・加工食品・教育・ITサービスなどの輸出促進が後押しされています。

また、経済政策は中央銀行(Reserve Bank of New Zealand)によるインフレ目標型金融政策と、健全な財政運営を重視した政府支出により、比較的安定したマクロ経済環境を維持しています。

経済課題と展望

一方で、ニュージーランド経済には以下のような課題も存在します

  • 輸出依存度の高さ
    特定産業への依存度が高く、気候変動や国際価格の変動に影響を受けやすい。
    XXX
  • 労働力不足とスキルミスマッチ
    建設、IT、介護などの分野で人手不足が顕著。移民政策の調整が課題。
    XXX
  • 住宅価格の高騰と生活費の上昇
    特に都市部では家賃や不動産価格が高く、若年層や移住者の生活に影響を与えている。

それでもニュージーランドは、環境・人権・持続可能性を重視する国としてのブランド価値を維持しており、グリーン経済や高付加価値サービスへのシフトが期待されています。

このように、ニュージーランドの経済は農業を基盤としつつも、多角化とグローバル化を推進する柔軟な構造へと進化しています。

さて、次の章では日本との繋がりや現地日本人情報について解説しますが、読み飛ばしたい人は「11. まとめ:ニュージーランドの魅力とは?」をクリックしてください。

10. 日本とのつながりと、現地で暮らす日本人情報

さて、ここではニュージーランドと日本との関係について、現地日本人社会についても触れながら解説します。

日本とニュージーランドの外交・経済関係

太平洋をはさんで約9,000kmも離れている日本とニュージーランドですが、経済・安全保障・文化の各分野において良好な関係を築いています。

両国の国交は1952年に正式に樹立され、以降70年以上にわたって友好が継続しています。

主な外交・経済面での連携は以下の通りです。

  • 自由貿易協定(CPTPP)
    両国は環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)の署名国であり、貿易障壁の低減を通じて互いの輸出入を活性化しています。
    XXX
  • エネルギー・食料安保
    日本はニュージーランドからの乳製品、肉類、ワイン、果物などを多数輸入しており、食料供給国としての重要な位置付けにあります。
    XXX
  • 人的交流
    ワーキングホリデー協定(1999年開始)により、18〜30歳の若者が互いの国で最長1年間の就労・滞在が可能。留学や観光も含め、日本とニュージーランドの人の往来は年々増加傾向です。

また、地震災害やパンデミックの際にも両国は支援や協力を通じて関係を強めており、価値観を共有する民主主義国としての連帯も注目されています。

現地の日本人コミュニティ

直近ではニュージーランドにはおよそ1万人強の日本人が暮らしているとされ、これは在留外国人の中でも中規模のグループにあたります。

主な居住地は以下のとおりです:

  • オークランド
    最大の日本人コミュニティがあり、日本食レストラン、日本語補習校、日本語対応医療機関なども充実。
    XXX
  • クライストチャーチ
    教育機関への留学や研究目的の日本人が多く、日系文化イベントも定期的に開催。
    XXX
  • ウェリントン
    大使館の所在都市として、外交関係者や日系企業の駐在員などが居住。

日本人が活躍する分野と暮らし

ニュージーランドに滞在する日本人の活動は多岐にわたります。

日本人が多く活躍している分野としては、例えば以下のような分野が挙げられます。

  • 教育・留学
    語学学校、大学への正規留学や短期交換プログラム
    XXX
  • 観光業・飲食業
    日本食レストラン経営、通訳、ガイド、ツアー企画など
    XXX
  • 貿易・物流
    日本食品・雑貨の輸入販売、日系企業の現地支店運営
    XXX
  • IT・クリエイティブ
    デザイン、アニメーション、ゲーム、マーケティングなどの分野でフリーランスとして活躍

また、現地の教育に子どもを通わせる移住家族も増えており、親子でのライフスタイル転換や二拠点生活など、新しい形の「暮らし方」を実現する人も少なくありません。

日本語教育と文化交流

ニュージーランドでは、日本語は中国語・フランス語と並び、中等〜高等教育で人気のある外国語の一つです。

また、多くの高校で日本語の授業が選択科目として提供されており、日本文化やアニメに親しみを持つ若者も増えています。

加えて、日本文化の発信拠点も各都市に存在し、現地社会との相互理解を深める橋渡しとして機能しています。
(例:日本人会・補習授業校・文化祭・茶道・武道教室など)

近年では、地域の公立学校や図書館と連携して「ひらがな教室」や「折り紙ワークショップ」などを開催する日本人ボランティアの活動も活発で、日本とニュージーランドの距離を文化で近づける取り組みが広がっています。

10章のまとめ

以上のように、ニュージーランドにおける日本との関係は多層的であり、国レベルの経済連携から、個人レベルの文化交流・生活基盤まで、さまざまな接点が日常に根づいています。

11. まとめ:ニュージーランドの魅力とは?

豊かな自然に囲まれ、のびのびとした暮らしと多様性を大切にする社会 – ニュージーランド。

ニュージーランドは、ただの「美しい観光地」ではなく、世界中から人を惹きつける理由が詰まった国です。

このページでは、地理や気候といった基本情報から始まり、政治・教育・医療・経済、そして日本との関係まで、多角的にニュージーランドの姿をご紹介してきました。

あらためて、ニュージーランドの魅力をまとめると、次のような点が挙げられます。

  • 自然と都市のバランスが取れた生活環境
    都会に住みながらも、週末にはビーチや山へ気軽に出かけられる生活。ストレスの少ないライフスタイルは、世界的にも評価されています。
    XXX
  • 多文化共生社会と寛容な国民性
    多民族が共に暮らす社会の中で、互いの文化や価値観を尊重する風土が根づいています。移住者や留学生にとっても暮らしやすい国といえるでしょう。
    XXX
  • 高品質な教育・医療・福祉制度
    市民や永住者に対する公共サービスの水準は高く、子育てや老後も見据えた長期的な生活拠点として選ばれています。
    XXX
  • 自由で開かれた経済と安定した政治基盤
    自由貿易を重視し、国際社会と積極的に連携する姿勢が経済成長を支えています。政情も安定しており、信頼性のある国づくりが続いています。
    XXX
  • 日本との深いつながりと親しみやすさ
    経済や文化だけでなく、人と人との交流の中に日本との確かな結びつきが感じられる国です。

ニュージーランドは、「住む」「学ぶ」「働く」「旅する」といったあらゆる目的において、多くの日本人にとって理想的な選択肢となりうる国です。

ニュージーランドに関心を持つ方にとって、この記事がその第一歩として、もし何か1つでもあなたの将来をより豊かにするためきっかけになれば幸いです。

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